三軍の幸福論

君も幸せになる時が来たんだ

遅くなりましたが、今年の夏休みの自由研究がこちらです




あのー僕、すごいものを見つけたんだけど、知ってるかなあ?


""音楽""って言うんだけどさあ・・・(舐めきった序論はとても気持ちが良い)




音楽の素晴らしさは、感情を柔軟にコントロールできるところにある。


楽しさを爆発させたい時は一本のダイナマイトに、悲しみを収めたいときは一枚のハンカチになるように。


精神を任意の感情へ染めるための触媒[注1]として働く音楽を、誰しもが持っているはずだ。


ここで、聡明な僕ゆえの明察っ・・・!


気づくよな・・・今まで、その気づきで他者を圧倒してきたのだから・・・!


ああ、それは気持ち良くなりたい時に聴くべき音楽があるはずということだ・・・![注2]




これは僕がまだ自意識を尖らせていた頃・・・(あたかもむかしむかしの話のように語り出したが、比較的最近の話である)


以前は死人の心電図のごとく平坦でつまらない日々を過ごしてきたが、とある日を境に、不意に異性にチヤホヤされてみたくなった。


それからというもの、香水をつけてみたり、相席居酒屋へ身一つで飛び込んだり、スケベなソファを買ってみたり、小手先の小手先で恋愛"もどき"を黙々とこなしてきた。


その甲斐あってか、当社比で頭数だけは多くの女性とくっついたり離れたりする[注3]日々を過ごした。


そのさなか、僕の持って生まれたサービス精神が高じて(低じて)、ライトメンヘラガールとの宅セク[注4]中にiPhoneで音楽をかけたことがあった。


それは(この人、宅セク中にiPhoneで音楽をかけるとは、なんてオシャレな人なんだろう!)と思われたかった部分ももちろんある。


が、浴室で数々の水滴が衝突し合う轟音を聞いた後の真夜中の日本、あまりにも静かすぎた。


沈黙に耐えられず、iPhoneの画面を下からスワイプし、その時によく聴いていた『becoming』[注5]を思い切って流してみせた。


相手の顔を覗き込んでみる。


信じられないくらいの、美しい無表情だった。


そのまま自然体を装って添わせ寝[注6]を始めようとしたが、聴くとiPhone「いつの間にか君なしじゃ息もできない〜♪」と切なげに歌っていた。


相手が心なしかほくそ笑んでいるように見えた(たぶん聴いちゃいない)


メンヘラが!ほかのメンヘラを馬鹿にするんじゃあないよ!!!(たぶん聴いちゃいない)




それに懲りず選曲について唸り悩み続ける、全ては相手に気持ちよくなってもらうためであり、相手の快感は僕の快感でもある。


ピンサロよろしくYouTubeでギンギンのユーロビートを流したり、逆にクラシックが良いのかと『雨だれ』[注7]を流したりもしたが、シナシナのパサパサでどうも満足のいく反応が得られない。


そのうち僕は一つの結論に辿り着いてしまった。


・・・音楽、いらなくね?



そもそも、日本の静かさを音楽でかき消したいのなら、一人で自室にこもって耳をイヤホンで塞げばいいだけの話。


なにも太陽に背いて真裸になる必要なんかこれっぽっちもないのだ。


音楽は万能だが、唯一寂しさへのキキメは無に等しいのだ!


世の音楽好きよ!わかる!わかるよ!


音楽は今まで僕らを救ってくれたけども!


違うんだ!寂しい時は音楽じゃない!


寂しけりゃヒトの声、ヒトの音を大音量で聴きまくるんだ!わかったか!!!


あとユーロビートはダメだ!ケツが攣るゥ!!!!!



ところで、ふつうは人が曲を選ぶはずだが、ごく稀に曲が人を選ぶことがあって、僕はこの事象を「選人」と呼んでいる。


朝まで僕の部屋にて男女数人と人狼をやったことがあって、それから昼過ぎまで雑魚寝をしたことがある。


それからふわつく身体でIGGY POP FAN CLUB』[注8]を聴きながらコンビニまでお茶を買いに行った。


一曲リピートを続けたまま部屋に戻ると、みな輪になってしょうもなトークを繰り広げていたが、一人だけ未だに平らに倒した座椅子[注9]に寝転んでいた女の子がいた。


窓からの西日に照らされた不思議な横顔から数秒間、目が離せなくなった。


奇跡らしい奇跡も久しぶりで、濁流のような劣情を催したのは忘れられない・・・。

君は家猫娘だった
この部屋でいつも寝転んで

俺のこの部屋に入り込む夕陽に映る
君の顔見とれてた俺は
まさに赤色のエレジーだった!!



それから一週間か一ヶ月か、あの子のことが好きに"なりそうに"なって仕方がなく、ナンバガがいなければ生まれることはなかった余剰性欲と戦い続けていた。


さすが音楽、哀しき色情においては効果てきめんで、恐ろしくキキメが長い。


結局、彼女は夕陽の差さない時間に僕の家を再訪し、二人でめくるめくセッション [注10]を繰り返した。


人が音楽の言いなりになった歴史的瞬間である。


皆さんも、「選人」には気をつけましょうね!!!



おしまい





脚注はツイキャスのトピックに貼ろうかと思います。読みたい人はそっちも読んでください。我ながらオシャレなシステムだ・・・!




良い文章を書きたければオシャレして街に出ろ




突然ですが、140字で官能小説を書いてみたので、読んでほしい。




・・・彼女は真綿に針を包むように私の一物を握った。


尻馬に乗ったように激しく上下に動かされ、私は色をなしてしまう。


しばらくして、快感のあまり腰が抜けたかと思うと、蜘蛛の子を散らすように射精してしまった。


彼女は精が出た私の物を咥えて甘い汁を吸うと、それを吐き出し、オブラートに包んで捨てた。






最近の僕はありがたいことに言葉を扱う仕事を頂いている。


それをこなすうちに常々思うことは「難しい言葉」を使いこなす能力は僕らが思っているよりもはるかに必要性が低い」ということだ。


難しい言葉を使うメリットとしてまず思いつくのは二つ。


・より深い、鮮明な表現が可能になること。


・賢い印象を与えることで、文章に説得力を持たせること。




学術的な正確性・再現性の求められる文章は難しい言葉を使わざるを得ないが、ここから書く「文章」とは創作としての自由度が高い文章のことを指す。


ひとつめに関して言えば、難しい言葉を使う理由になりうるが、それも実は簡単な言葉を多用するアドバンテージには勝てない。


まず、簡単な言葉を多用することで、文章の裾野が広がる。


年齢や読解力に左右されにくく、多くの人に読破してもらいやすい文章に仕上がる。


文章にとってのスタートラインははじめのページを読んでもらうことではなく、最後のページまで読破してもらうことだと、個人的には思う。


そこから読者の心が描いた軌道がどれだけ美しかったかを後から覗き見するのが、物書きの正しい楽しみ方だろう。


創作とは双方向性のエンターテイメントであり、リアクションがあって初めて完結する。


世に発信しておいて「自分の書きたいものだけを書き続ける」というのはあまりに傲慢だし、僕には思考停止しているだけにしか見えない。


創作者はそれに早く気づくべきだし、いつまで経っても気づかないのであれば、はっきり言って才能がないと思う。




それから、あまり言葉の力を信用しすぎない方が良い。


そもそも言葉とは自分にしか見えない世界を写し取って他者と共有するために生まれたものだが、これを完璧に行うのは、どう考えても不可能なのだ。


脳波を直接コピーして相手の脳にぶっ刺す電極でも発明しない限り、これはどうしようもない、無理だ。


絶対に倒し得ない敵に立ち向かうよりも、人によっての微妙な差異を楽しむ方が、僕は賢いやり方だと思う。


そこで簡単な言葉の力が活きてくる。




簡単な言葉というのはみな使い慣れているものなので、日常での経験が少なからず紐付けされている。


その主流の意味とはあまり関連性のない思い出が一気に解凍された時、その時間差の大きさで人は感動を覚えるような気がしている。


ここに文章をよく読むとなぜ人生が豊かになるとされているかの答えが隠されていると思う。


エビングハウス忘却曲線を見るとわかるように、昔の記憶をずっと留めておくには、時折記憶をつついて思い出してあげることが大事なのだ。


継続的に文章を読むことで、歳を取っても昔の記憶が色濃く残っているような、若々しい人生を歩めるのだと思う。


もしかしたら、文章とはそれそのものに大した意味はなく、懐古のための触媒でしかないのかもしれない。


読書が嫌いだと言ってのける人は、今まで歩んできた人生がつまらなかったのかもしれない。




長くなったがふたつめ、説得力について。


説得力を出す方法はいろいろあって、そのうちの一つに難しい言葉を多用するというのもあるかもしれないが、結局はマンパワーで押し切るのが正攻法であるように思える。


文章とは不思議なもので、消極的な読者でも読んでいるうちになんとなく作者のパーソナリティが浮かび上がってくるし、さらに積極的な読者は作者の正体をプロファイリングするためにその人の作品を読み漁ったりする。


一見手段と目的が逆転しているように感じるが、人間と人間の間に作品が介在している原則を思い起こせばさほどおかしくはないと思う。


ポナンザがいくら強かろうとプロの棋士がいなくならないのと同じだ。


将棋ファンが純粋に凄い将棋を見たいだけではなく、人間と人間の真剣勝負だからこそ起こるドラマに期待しているのように、文章だって人間が書くから面白いのだ。




さて、なかには処女作でセンセーショナルな人間性をぶっ放してくる一握りの天才もいるが、僕らのような凡才は一歩一歩自分のことを知ってもらうしかない。


その上で格好悪い人間になってはいけない。


格好悪い奴の話なんて誰も聞いてくれないし、つまらない人間はつまらないものしか作れないのだ。


僕の言う「文章力=生命力」の肝はここにある。


説得力のある文章を書きたければ、文章の中に閉じこもるだけではなく、人間として重みのある日々を過ごさねばならない。


オシャレして街に出よう。


ファッションを勉強すると、人にどう見られているかを把握する能力が着実に身についていくし、その力は見てくれ以外で格好良いと思われることにも活きてくる。


ひょっとして難しい言葉もある種のオシャレなのかもしれないが、使う人間の魅力が伴っていなければ、それはファッションで言う「服に着られている」現象なのかもしれない。


酒を飲んでも良いし、タバコを吸ってもいいし、道端で酔いつぶれても良い、本気で遊べ。


街には誘惑で溢れかえっているが、たまには全てに負けてみることも必要だ。




さて、冒頭の官能小説には計8個の慣用句が含まれていて、そのどれもが辞典的に間違った使い方をされている。


それでもなんとなく読めてしまうのだから、言葉の意味なんて初めはフィーリングで当てはめてみるくらいでもいいのかもしれない。


本当の意味が気になる人は国語辞典で調べてみよう。


ちなみに、簡単に書き直してみた。




・・・ぎゅっ。


しこしこ。しこしこ。ああっ。ああっ。


がくがく。どぴゅっ。はあ。ふう。


じゅるじゅるり。ぺーっ。くしゃっ。ぽいっ。




ほら、子どもでも読めるようになったでしょ?





アレちゃんの風俗レポート〜なんばデリヘル編〜

 

 

 

 

これは先週Twitterで発表した風俗レポートをまとめ読みできるように加筆修正をしたものです。

 

 

 

 

日曜21時、なんばパークスサイファーを眺めながら近辺のデリヘルを検索する。

 

さすが繁華街、数々のHPがヒットする。

 

ところで僕はデリヘルを利用したことがない。

 

システムは都市伝説的には把握しているものの、ホテルをどうするとか、料金体系がどうとか、細かな点においてはまったくの無知であった。

 

 

初めてということでプレーンそうな店を選び、意を決して電話をかけると穏やかな声の男が出た。

 

「はい、もしもし…?」

 

おいおい、店名を名乗らないのか、それではまるで架空請求会社じゃないか。

 

「あのー、ふと、デリヘル呼びたいなーと思いまして…」

 

本当は3割くらい風俗に行くために大阪に来た。

 

 

話していると、男はたんに淡白なだけで悪い奴ではないことが徐々にわかる。

 

少なくとも去年行った巣鴨のヤクザ崩れソープ受付男よりは遥かに社会的な感じがする。

 

それから正直になんばも初めてならデリヘルも初めてだと告げると、丁寧に日本橋の手頃なホテルを教えてくれた。

 

目印は大きなPの看板だ。

 

 

フロントで2000円を払い5階へ。

 

部屋は赤と黒のツートンカラーだった。

 

僕は女の子以前にラブホ大好きである。

 

一国一城の主になった気分になり、思わずベッドで前転を繰り返す。

 

それから部屋番号を伝える電話を入れる。

 

「暫くお待ちください、では」

 

…あれ、システムを全然聞いてないぞ。

 

 

僕には"女の子と会う時は襟付きの服を着る"というポリシーがある。

 

電話してから慌てて水色のオックスフォードシャツを羽織る。

 

それから僕はプレイ中に喉がカラカラになるので、洗面台に駆け込み大阪の水道水をがぶ飲み。

 

システムなんか人間が作ったものだ、なるようになるだろう。

 

 

さて、どんな子が来るのだろう?

 

一重なのか二重なのか?

 

ショートなのかロングなのか?

 

歳はいくつなのか?

 

関西弁がキツイといいなあ。

 

もし相手が全然喋らなかったらどうしよう?

 

大阪で財布を落として和歌山まで取りに行った話でもしようか?

 

扉を何回ノックするのだろうか?

 

僕はいつまで待たされるんだ?

 

 

ガチャ。正解は0回だった。

 

「はじめまして〜」

 

「あ、宜しくお願いします!」

 

「私全然慣れてないんですけ…」

 

「大丈夫です!僕の方が慣れてないんで!」

 

 

しかしこの顔どこかで…

 

その場で答えは出なかったが後になってピンと来た。

 

あれは一時期深夜番組で酷使されていた小森純のスッピンだ。

 

 

だが正直スタイルを含め外見は僕のタイプにかなり近かった。

 

"チェンジ"はどう使うのだろうかと不安に駆られていたが、もはやその必要はなくなった。

 

まずは一発ユーモアをぶち込もう。

 

「ずっとソファで正座して待ってたんで足痺れちゃいましたわ!」

 

「あはははは…正座?」

 

いいね、関西の笑い方。

 

 

「僕デリヘル初めてなんで全部お任せします」

 

「え!初めて!?」と驚かれる。

 

そんなにデリヘル野郎に見えたか?

 

風呂場に向かいながら服を脱ぎ散らす。

 

なんとなくちんこは風呂場で見て欲しかったので、パンツを洗面所で脱いでベッドに投げると「やんちゃ〜笑」と笑われた。

 

最高の褒め言葉だ。

 

 

「お風呂溜めますか?」と聞かれる。

 

髪が崩れるのが嫌でなるべく風呂場にいたくなかったので、シャワーを選ぶ。

 

スケベ椅子が申し訳なさそうに壁に寄りかかっていたが、見て見ぬ振りをして浴槽に腰かけた。

 

小森さん(名前聞くの忘れた)の身体は見るからにスベスベでおまんじゅうのようだった。

 

 

身体を洗われている間、おっぱいに触れていいのかも分からず、僕は痴漢冤罪を恐れる会社員みたいなポーズになっていた。

 

全身をくまなく洗われた後、ちんこにイソジンを塗りたくられる。

 

「これ、勃ってます?」

 

マニュアルに載っているのだろうか。

 

このプチサイズで勃ってるわけがないだろう。

 

 

その後すぐに彼女の手の中で固く勃起してしまった。

 

恥ずかしい。

 

「大きくなってきたね笑」

 

いつの間にか彼女はタメ口になっていてタマキュンを覚える。

 

ちょこんと座った彼女の目の高さに僕の亀頭があった。

 

しかし玉袋がヌルヌルすぎる。

 

どんなボディーソープの使い方をするとそうなるんだろう。

 

 

風呂から上がり、全身を拭いてもらう。

 

ソープと比べると部屋の移動があるのが少し楽しい。

 

「富豪になった気分っすわ」

 

自己肯定感が高まる。

 

「髪ボサボサやけど許してな〜」

 

うん、導入としては100点の言葉だ。

 

「じゃ仰向けなって〜」

 

彼女の言葉に従い、今からMRIを撮るかのように僕の身体は綺麗に天井を向いた。

 

 

その後、間ごと詰めるように彼女が僕に顔を寄せる。

 

風呂場と違って、ここで手をどうしたら良いかは進研ゼミで予習済みだ。

 

僕は目を開けたり閉じたりしていたが、彼女も同じように目を開けたり閉じたりしているのを見て、なぜだかとても嬉しくなった。

 

シャワーを浴びた後だというのに、僕とは違う良い匂いがした。

 

 

時間にして3分だったか5分だったか、キスが終わって「変態…笑」と言われた。

 

耳触りの良い言葉が続く。

 

「…僕、セックスよりもキスの方が好きなんすよね」

 

「あーだと思った笑」

 

この人には敵わないと思った。

 

今日は為されるがままボコボコに負けようと思った。

 

ちんこはアルデンテになっていた。

 

 

「舐めていい?」

 

「あ、お願いします」

 

「…敬語使わんでいいよ?一個しか変わらんから」

 

と言われたものの、明らかに五個くらいは上なので黙って敬語を使い続けることにした。

 

今日は敗北に向けてシフトすると決めたところなので、敬語の方がよっぽど都合が良いのである。

 

 

「舐めるね…」

 

そう言って彼女は僕の右乳首を舐め始めた。

 

「舐めるって乳首のほうかーい!」と言いたくなったが、漫才が始まっても困るので黙っておいた。

 

左乳首も彼女の小さい手に撫でられ始めた。

 

僕は頭を撫でようとしたが、生意気かと思われそうなので、ずっと彼女の髪を手ぐしで梳かしていた。

 

 

僕は周知の通り乳首も弱くて(そもそも全体的に敏感なのだが)またすぐに勃起してしまい、彼女の右太ももにちんこが押し潰される格好になった。

 

それについては何も言わずに微笑みかけてくれて、この人はIQがかなり高いなと思った。

 

舌と指は両乳首の間を行き交い、次第にそれらは下に降りていった。

 

 

まずは金玉をひと舐め。

 

金玉が喉元くらいにあるかと思うくらい脳に近接的に感触が伝わる。

 

集中してキスをしたおかげだ。

 

それからフェラが始まったが、そこでいきまり知らない女性にちんこを舐めている羞恥心から、彼女を直視できなくなった。

 

草原に寝転がって星空を眺めるポーズをとる。

 

 

それから指数関数のように尻上がりに口の動きが激しくなっていく。

 

僕はなにもしていないのに「ん…ん…」と静かな嬌声を聞かせてくれた。

 

これは全然いい。

 

セックスとは嘘の共有なのだから(厳密には全然セックスではないのだが)。

 

僕も息が漏れそうになって顔が赤くなる。

 

二人とも軽く汗ばんでいる。

 

 

僕がたまに現状確認のため顔を上げるのを見計らったかのように、ちんこによだれを垂らす光景を見せびらかしてくる。

 

間接照明に照らされて、本しゅすのようだった。

 

僕はもうこの時点で痛いほど勃起していた。

 

たまに手で金玉をあしらわれるのに合わせ亀頭がピクつくと、嬉しそうに目を合わせてくれた。

 

 

時間にして10分ほどフェラされたところで久しぶりに人語を投げかけられる。

 

「どうする?手でしよか?」

 

「…あ、関西弁いいっすね」

 

「え…笑」

 

支離滅裂な発言を尻目に手コキに移行しようと、彼女が顔を上げる。

 

久しぶりに見た彼女の顔はすごく幼く見える。

 

この時点で僕の喉はカラカラである。

 

 

そこで彼女はまた口から引く糸を僕に見せつけるため、ちんこの上空30センチほどで顔を固定してみせた。

 

もうこの上なくエロいのだが、先日見た女子アナのチーズタッカルビの食レポと重なって笑ってしまいそうになる。

 

僕の悪い癖だ。

 

へそにキスされた。

 

嬉しくて違う笑いが出そうになる。

 

 

彼女はにわかにローションを取り出した。

 

昨日行ったお好み焼き屋のマヨネーズとほぼ同じ容器だった。

 

部屋は冷房が効いているが、ローションはそれよりも一層冷たかった。

 

しかしちんこを握られて5秒もすると常温に戻ったようで人間の体温の高さに驚かされる。

 

ローションは遠く蟻の門渡りまで伝ってきた。

 

 

手コキもどんどん加速してゆくが、少々亀頭への刺激が物足りないような気がして、

 

「亀頭、撫でてください…」

 

と、弁当温めてくださいのテンションでお願いをする。

 

彼女は忠実に亀頭への刺激を増やした。

 

しかしこれが命取りとなる。

 

僕は亀頭への刺激が多すぎると尿意が勝って射精が遠のくのだ。

 

 

刺激に耐えきれず、苦しくなって仰向けから横向きの体勢に変わる。

 

彼女も臨機応変にポジションを変える。

 

すると目の前にキューティーハニーばりの小さなお尻が飛び込んできた。

 

思わず左尻にキスをする。

 

確かにキスをするならおっぱいよりもケツなのは自明である。

 

表情が見えないのが残念である。

 

 

手コキしながらも彼女は

 

「どう?気持ちい…?」「亀頭がいいの…?」

 

と問いかけてくる。

 

その言葉の数々はとても優しかった。

 

正直物足りない。

 

今の僕にとってあなたは天使すぎる。

 

 

全裸の僕にも恥じらいはある。

 

意を決して「…罵ってください」とお願いをした。

 

声が小さく、聞き返されてしまう。

 

たぶん僕はケツごしに4回言った。

 

 

「罵って…」

 

「ん?帰らせて?」

 

「いや、罵って…」

 

「なんて??」

 

「罵ってください…!」

 

「ああ!…変態笑」

 

 

それから彼女は変貌を遂げた。

 

あまりに変わり身が素早くてプロの凄さをまざまざと見せつけられる。

 

愛のある罵倒はとても心地よかった。

 

言ってよかったとしみじみ思う。

 

 

彼女はケツに遮られ見えない僕の代わりに僕のちんこを実況したり、僕におねだりさせたり、とにかく悪魔が板についていた。

 

いつの間にか彼女の一人称が「おねえさん」に変わっていて、僕を形容して「可愛い」と連呼してくれた。

 

余談だが、AV以外で初めて生で「ザーメン」という単語を聞いた。

 

 

僕は彼女の一挙手一投足に胸と金玉をキュンキュンさせ、息も絶え絶えになっていた。

 

彼女が「どこが気持ちいいの?」などと質問してくるが、声にできず、左尻へのキスモールス信号で答えるしかなかったのが辛かった。

 

僕はさながら心臓病でろくにプレーできなかった三杉くんの気持ちだった。

 

 

ただ僕はずっと腰を浮かせてよがるだけで射精には至らず、蓋をされたプールを泳いでいるようで苦しかった。

 

心臓が痛かった。

 

このままでは病状すらも三杉くんになってしまうところだった。

 

僕は活路を見出そうと震えながら「キスして…」とお願いした。

 

メスフォルムの椎名林檎が憑依した。

 

 

コアラのように彼女のウエストにしがみつく腕がほどける。

 

少し疲労の色が見える彼女が僕に近づくと、金色とも茶色ともつかない髪が口に二束ほど入ってきた。

 

それを微小時間だけ味わった後、口の外に出して仕切り直す。

 

相撲の立会いのごとく目線を繋げてキスしようとしたところで、アラームがけたたましく鳴り響いた。

 

 

あまりに残酷なタイミングすぎて、僕は遠隔操作を疑った。

 

どこで時間をロスしたのだろう。

 

「あ…延長って…」

 

「うん、聞いてみるわ」

 

「30分で11880円だって」

 

「お願いします」

 

男にしかわからないかもしれないが、射精せずに帰るのは、買った宝くじを当たってるか確認せずに捨てるようなものだ。

 

 

彼女はバツの悪そうにスマホを置きプレイを再開させた。

 

20分に設定するのが見えたが、考えないことにした。

 

10分前行動、だ。

 

憶測なぞ射精には邪魔になるだけ。

 

全ての邪念を振り払い、悟りを開くように射精へ向かう。

 

 

キスしながらの手コキはキス単体よりとてもおそろしくて、思わず彼女の頭を強く抱きしめてしまう。

 

彼女の眼光が三十分前のキスの時よりも強い。

 

なんばに悪魔が降臨している。

 

 

おそらく時間にしてボクシング1ラウンドぶんほど。

 

キス手コキに変えてからすぐに射精感が襲ってきた。

 

僕は射精しそうになると喉に力が入るせいで声が高くなってしまうのだが、今日の声は特に産まれたてのチワワのようだった。

 

彼女もそれを察して「出る時はちゃんと、おねえさんに教えてからね…」と囁いてきた。

 

その台詞は、ほとんど吐息のみで構成されていた。

 

 

「出るところ見ててもらってもいいですか…」

 

もはや羞恥心が手数料なしで快感に変わる時間帯、頭の中が白霧に包まれる。

 

僕は必至状態(ここで刺激が止んだとて射精へと至ってしまう状態)になり「あ、イ、きます…」と弱々しく宣言する。

 

「ふーん笑」彼女は嬉々として刺激を強めた。

 

 

やはり、最後まで敵わなかったなあ…

 

 

 

 

 

ついに、大射精した。

 

 

 

 

 

僕の放った精液は、腰が浮いていたからか、乳首と肩の間まで届いた。

 

葛西紀明もビックリの大ジャンプである。

 

ちなみに四日ぶりの射精である。

 

「え、めっちゃ出たね…」「可愛い…」と頭を撫でてもらった。

 

本当は膝枕してもらいたかったが、そんな時間がないことくらい僕もわかっていた。

 

 

僕はさほど賢者力が強い方ではないのだが、シンプルに体力を消耗していた。

 

「落ち着いたら、お風呂行こか?」

 

彼女はいつの間にか天使に戻っていた。

 

 

泥酔しているかのようにふらふらと風呂場に向かい、まずはちんこ、そこから全身を洗われる。

 

さっきとは逆の手順、理科室のガスバーナーを思い出す。

 

 

身体を洗ってもらう間、和歌山まで財布を取りに行った話をしたが、頭が回らず、すごくつまらない話になった。

 

それでも天使は心配しながら笑ってくれた。

 

身体を拭いてもらう時に「お殿様みたいやな笑」と言われた。

 

「確かに笑」

 

僕はさっき富豪と言ったのだから統一してほしい。

 

 

服を着ようとベッドに腰掛けると、ローションと精液で濡れていた。

 

「ごめんなぁ、シーツ汚れてて」

 

「いや、汚したの僕なんで」

 

「てことは私が汚したってことやん笑」

 

確かに、射精の動作主は女性なのかもしれない。

 

二人で笑いながら服を着た。

 

パンティーの色でだいぶ年上であることを再確認する。

 

 

娑婆を歩き回る格好に戻る。

 

「一回さっきのお金返すな〜」

 

16200円を受け取り、28080円を支払った。

 

軽はずみに万札が行き来するので、人生ゲームをやっている気分になった。

 

和歌山の話をしたのを後悔しながら、金に困っていないと思われたくて、お札の皺をできるだけ伸ばして渡した。

 

 

そういえば喉がずっとカラカラだ。

 

更年期障害でも起こしただろうか。

 

「コップってあります?」

 

「大阪の水そんな美味ないよ?」

 

「僕、舌バカなんで」

 

飲めるレベルであることは一時間ほど前に確認済みだ。

 

 

「はい、どうぞ〜」

 

水を汲んできてもらい、僕が飲むのをずっと見つめててもらった。

 

新手の羞恥プレイである。

 

アフターケアも万全なのか。

 

 

水を飲み干し、そそくさと身支度をしていると彼女に「あ、お兄さん、LINE教えて?」と言われた。

 

ドキドキしたが、たぶんこれは恋心ではなく、死角から飛び出してきたようなバイオハザード的ドキドキである。

 

まさかデリヘル嬢にLINEを聞かれるなんて思わなかった。

 

僕は慌ててQRコードを差し出す。

 

 

それを彼女のiPhoneで読み取ってもらったが、不要なソフトバンクWi-Fiに繋がってしまって読み取れなかったらしい。

 

時間がないからと電話番号を教えてもらう。

 

それで検索してほしいとのことだ。

 

野暮な僕は「なんで僕のLINE知りたいんですか?」と聞く。

 

彼女は「え、お兄さん、男前やから」と言ってくれた。

 

 

しかし、僕のメス顔を知る彼女は口封じのため可及的速やかに抹殺しなければいけない存在である。

 

そんな女をご飯に誘ったりして親密になりたいなどという気持ちは毛頭なかったが、それでも心が温かくなった。

 

美味しいパン屋の話とかならLINEでしようかなと思った。

 

お礼の言葉を投げかけようとしたが、なぜか頭がバグり、そのタイミングで彼女の胸を薄布ごしに触る。

 

今日のボール支配率はおそらく一桁だが、唯一攻撃があったとすればこのシーンである。

 

結局、今日は生乳に触れずじまいだった。

 

 

「いや、男前なんて誰も言ってくれないですよ」

 

「勿体ない…もっと周りにアタックしたらええのに」

 

付き合ってほしい女の子、周りにいないな…なんて考えていると、彼女は

 

「そしたらみんなヤらせてくれるのに」

 

と付け加えた。

 

関西が凄いのかデリヘルが凄いのか、あけすけな言動に憧れすら覚える。

 

 

素敵なデザートを右手で味わったところで部屋を出て、エレベーターに乗る。

 

5階から1階に降りる間の、3階くらいでキスをねだられた。

 

ソープでもそうだったが、別れ際にキスすれば客は喜ぶとでも思っているのだろうか。

 

だとしたらそれは、とてもとても正しい。

 

そういえばこれまた彼女とは初めてののバードキスである。

 

 

キスが終わった後、僕の首にかかるオパール東京のネックレスを触られた。

 

「なんで"初恋"なん、どういう意味これ笑」と聞かれる。

 

僕の脳裏には即座に二つ三つほど返しが浮かんだが、その手札のどれもが等しく気持ち悪い。

 

ここでの発言は別れの言葉から逆さに数えて、あまり遠くはならないだろうということを察知した。

 

キモ客のレッテルを被るのを恐れて、ただひたすらモナリザのごとくなにも語らずに微笑みかけていた。

 

 

「今度は新世界の美味しいお店教えたげる〜」

 

「あ、新世界行ったことないんで楽しみっす!」

 

お互いに営業トークという、霞のような時間を経てホテルを後にする。

 

「あっちの方にネカフェあるよ」

 

「はい!」

 

「…うん!」

 

「あ、どうも!」

 

別れ方がわからぬ。

 

もう一生会わないと思うと、少しだけ、切ない。

 

僕は、絶対に、また大阪に来た時に、指名なんて、絶対に、しないからな。

 

 

彼女は一度だけ振り返り、路地裏へと消えて行った。

 

ジブリ映画みたいな消え方をするな。

 

あの先に店舗があるのか、運転手が待っているのか…

 

 

歩きながらLINEに番号を入力。

 

しかし…いないのだ。

 

"入力した番号は存在しないか検索できません"との表示。

 

わけがわからない。

 

みぞおちがぎゅっと締め付けられる。

 

 

僕から聞いたならデタラメな番号で逃げるのもわかるが、そっちから教えてきて繋がらないのは本当によくわからない。

 

色々な憶測が頭に浮かぶが、全てつまらないものだ。

 

「やめさせてもらうわ!」

 

僕の咆哮が千日前通にこだまして、ネオンの光が滲む。

 

久しぶりにタバコでも吸おうかなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

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エモエモ結婚観

 
 
 
 
 
薄いピンクに紫がちょうど半分ずつ混ざっているような淡い妄想にすがって生きてきた。
 
 
ひとすじの蓮が花開く瞬きを見逃さないための共同戦線か。
 
 
あるいは、互いの自己陶酔の輪郭を曖昧にさせ、人格を結合させるたった数十年の過程に過ぎないのか。
 
 
僕は結婚したことがないので、結婚がどういうものなのか全くわかっていない。
 
 
まるで道は狭いが先は深い洞窟、しかしその実は目の見えない怪物の巨大な消化器官であるように思える。
 
 
漫然とした自信、俊敏性を備えた見識、依存欲を励起させるきめ細かさ、今の僕に結婚する素質なんて何一つない。
 
 
その欠落感が原動力となり、結婚に対して畏怖と憧れというアンビバレンツな感情が交互に映し出されている。
 
 
その影には、社会に滲もうと自傷行為もどきの不可解な言動を繰り返し、子どもの物真似をする日々がある。
 
 
 
 
僕はとにかく寝るのが好きだ、正確に言えば起きていないことが好きだ。
 
 
真の孤独とは眠りの中にあって、その間は誰とも目を合わせなくていいし、相手の気持ちをクロッキーを描くように観察する必要もない。
 
 
この上なく楽で、これほど安全な時間の過ごし方を僕は知らない。
 
 
僕は今まで常に自分本位の生き方をしてきた。
 
 
ただそれは利己主義とはまた違い、内向が極まっているだけのこと。
 
 
なぜか世間では奇妙な活用をされているが、外向/内向というのは当人が持ちあわせていないものへ対するスタンスの違いである。
 
 
あれもこれもと欲しがった結果、何もない自分を嫌いになっていくのが外向、足りないものはもともと自分には必要のないものだと価値観を積極的に捻じ曲げて、世界を嫌いになっていくのが内向。
 
 
僕は究極的には自分以外何もいらないと思っていて、自分がどれくらい自分のことを好きなのか、その情熱を他人に向ける愛情と相対的に比較するために恋愛に勤しんでいる節がある。
 
 
そしてもし自分と同じくらい好きだと言える女性が見つかったら、その一つの指標として「結婚」があるだけだと思う。
 
 
そんな非建設的な実験に付き合わされる将来のお嫁さんが不憫でならない。
 
 
 
 
少し話が横道に逸れたが、僕は結婚しても絶対に寝室を別にしたいと思っていた。
 
 
それくらいに睡眠という自我を形成する作業が僕の生活にとって大きなものであるということ。
 
 
以前友人にそのような話をすると「いや、ずっと一緒にいたいと思える人とじゃなきゃ結婚しちゃダメでしょ」と軽妙な返しを真正面から食らう。
 
 
絵空事と言えばそれまでだが、愛情というのは前借りできるもので、身の丈に合わない行動には必ずかさぶたのように追って愛情が加わるものだ。
 
 
初めはそれほどの心構えでいなければ、砂埃のような数十年を過ごすことになるかもしれない。
 
 
それくらい、僕の哲学や思想をひっくり返すほどのエネルギーを持ち合わせた女性に出会ってみたいものだ。
 
 
 
 
というところまで加えてまた違う友人に話をすると「いや、寝起きの一番汚いところを最愛の人には見られたくないでしょ」と、今度は重厚な返しを食らう。
 
 
確かにそうだとしか言いようがない。
 
 
これも立派に愛が詰まった一言だ。
 
 
僕の結婚観は揺さぶられ続ける。
 
 
まあ、本当にやりたかったのは、明日エモい文章を書かなきゃいけない仕事があるので、それに向けて自分の中のエモを呼び覚ますこと。
 
 
エモい文章書くのむずすぎない?
 
 
これ、難しいと言うよりはむずいな。
 
 
エ"モーション"だからね?動かさなきゃいけないんだよ?別に動かしたくもないのに?
 
 
まあ、えーと、婚活も引き続き頑張ります。
 
 
 
 
 
 

地獄を見てきた話




リア垢ではとても書けないので、ここに備忘録として書き留めておく。


これから罪を犯そうとしている人や、自分の大切な人が罪を犯そうとしている人に参考にしてもらいたいと思う。


仕事の先輩が先月、逮捕された。


罪名は言えないが、人が聞いた時に出るであろうリアクションとしては「バカだなー」であろうか。


僕はその先輩に可愛がられていた。


野党精神とでも言おうか、なにかを攻撃してはコテンパンにやられてきた人で、周りからの評判はお世辞にも良いとは言えなかった。


それでもなぜか僕にはベタベタに甘く、僕も彼の欠陥の多い人格に愛嬌を見出していた。


僕に仕事をいちばん多く与えてくれたのも彼で、僕も全て断らずに付いていった。


敵の数に大きな差はあれど、味方が少ないもの同士で「僕くらいは味方でいてあげなければいけない」とお互いに父性本能をくすぐりあっていたのだ。





逮捕される前日、噂としてそのような話を聞いた。


オオカミ少年のトラブルメーカーっぷりにまた微笑みながらグループLINEで事態を静観していた。


沈静化する兆しが見えた頃、なぜか彼は今回に限って珍しく凹んでいたようで、それを見かねた同僚がカラオケに連れていったそうだ。


用事があって行けなかったのだが、個室で楽しげに小躍りする動画もTwitterに流れてきたりして、「ああ、いつも通りだなあ…」と和んだのを覚えている。


その次の日に、彼は逮捕された。


カラオケを後にして車に乗ろうとした時、両側の車のフロントドアが開いて、そこに乗っていた私服警官に連れていかれたそうだ。


その一報を聞いた時はまさに青天の霹靂で、部屋中を駆けずり回ってはひどく落ち込んでドッキリを疑ったもしたが、ドッキリであればどれだけ幸せだっただろうか。


それから会社や周りの人間に及ぼす影響の大きさが徐々に露わになっていった。


先輩の中にはフリースタイルダンジョンでもコンプラで流せなくなるような言葉で罵る人が数人いた。


いま留置所でじっとその時を待つ彼も辛いだろうが、出てきた後も絵に描いたような生き地獄を味わうのだろうなと思うと、ただただ背筋が凍った。




留置所には一般的に二十日間の滞在となる。


怠惰に過ごしていれば二十日間なんてあっという間だが、Twitterもできなければ野球も観れない二十日間はあまりにも長い。


いままで巡り合わせもあって平気で一ヶ月くらいは会わないこともあったのだが、いざいなくなると寂しくなって、どれだけ彼の人間が出来ていないか顔を合わせて再確認したくなった。


僕は面会に行かねばならない。


本来であれば最速で行きたかったのだが、弁護士以外との面会は一日一回と決まっているので、彼の家族最優先でシフトのようなものを組むことになった。


土日祝日は面会ができないので、ゴールデンウィークが含まれるこの二十日間は面会希望者にとってなかなか厳しい。


結局同僚との兼ね合いもあって、今日が初めての面会となった。


逮捕から二週間後のことであった。




面会は最大三人まで許されていて、今日は先輩一人と僕の二人で警察署に出向いた。


警察署の中に入ると警官が大勢いて、別段後ろめたいことも無いのにみな僕らの一挙手一投足に注目しているようで変な汗をかく。


すでに一度面会を終えている先輩に連れられ、留置場管理課という所へ行き面会希望の旨を伝えた。


そこから書類を渡され、住所・氏名・電話番号などを記入し、実印を持参しなかったため拇印を押す。記憶にはないのでおそらく人生初の拇印である。


その下に、差し入れについての記入欄が設けられていた。


これは留置所によって違うかもしれないが、差し入れの制限はかなり厳しく、食品や日用品は認められていない。


現実的に差し入れできるのは、現金(中に売店がある)か本くらいだ。


一人三冊まで差し入れができると聞いていたので、ふたり合わせて『寄生獣』の一巻から五巻までと、僕の好きな劇団の脚本が書籍化された『銀河旋律』の計六冊をそこに書き入れ、担当の警官に手渡した。




それから面会室に連れて行かれた。


こじんまりとした六畳くらいの空間がアクリルを二枚重ねた板だけで二つに隔てられている。


なぜかそのスペースだけハリボテ感が強く、コント番組にでも使われた大道具かのように思われた。


二分ほど待った後、ワイシャツの警察官と共に黒ずくめの彼が現れた。


彼は恐ろしいほどヘラヘラしていた。


まるで僕らが犯罪者で、彼が面会に来たかと錯覚させられるくらいに。


開口一番、彼は「この場は、お二人が十五分で僕を何回笑わせるか挑戦する場となっておりますので」と言った。


僕はそれを聞き、すかさず横に座る先輩の方を向いて「帰りますか?」とつぶやく。


冗談ぽく笑いながら言ったが、半分本気で。


そこから彼はほかの面会で発生したくだりを二つ三つ並べ立ててみせた。


心底、興味がなかった。




僕はこの十数日間、彼の対応に追われていた。


彼のせいで回らなくなった仕事をタダで引き受けたりもしたし、方々に謝罪に向かったりもした。


それを堪えられたのは、彼に向けた周囲のヘイトをなるべく軽減し、彼が戻ってくる場所を確保しておくという大きな目的が僕の中に明確に存在していたからである。


そのためには、彼が猛省しているというのもひとつの必要条件であった。


それが一気に崩れてしまったようで、僕は目眩がする思いだった。


彼と目を合わせることができなかった。


睨み殺してしまうかもしれないな、と思った。




キッチンタイマーが鳴り響き、警官が面会の終わりを告げたところで、彼から「よし、最後に一発ギャグ見せてくれ」と要求された。


多目的トイレくらいの狭小空間に、僕の渾身のギャグがこだまする。


「上!上!上!向上心〜!」(キョロちゃんのリズムで)


彼よりも先に警官の顔を見てみた。


喪主みたいな顔をしていた。


アクリル板を突き破って二人ともぶん殴ってやろうかと思った。




帰りの車中で、先輩に向かって「僕は失望したんですけど、どうですか?」と訊いた。


すると先輩は「あれは違うんだ。俺がこないだ社長と面会に来た時に、社長が『ここはお前が慰めてもらう場所じゃなくて、お前がどれだけ元気か来てくれた人にアピールする場所なんだ』とあいつに諭しちゃったからなんだ』と答えてくれた。


そういう側面もあるか、と少し気持ちは和らいだものの、納得はできなかった。


僕は彼に変わっていてほしかった。


反省と元気は同居できるものだ。


あれでは反省しているふりでその場をしのいで、良い人格の前借りがどんどん溜まっていく今までと何ら変わっていかない。


それでは彼が会社に帰って来た後にいずれ破綻し、破滅を招く。


それは僕の望む未来ではないし、僕や彼を応援する数人の心労も浮かばれない。


というようなことを先輩に伝え、彼が帰ってきたらファミレスで現実をぶつけながら頭ごなしに叱る会を開きましょう、と話した。


駅の近くで降ろしてもらい、雨の降る匂いが鼻に届く。


久しぶりにタバコを吸いたくなった。




そして、僕の心配は全て水泡に帰した。


土曜日に処分保留として留置所を出た彼が事務所に来て、その場で社長から彼を解雇・出禁とする旨が伝えられた。


彼もここに居場所はないことをすぐに察し、僕らに向かって頭を深々と下げながら扉を開けて出て行った。


僕はしばし放心状態になっていたのと対照的に、他の先輩はいつも通りじゃれあって悪ふざけを始めた。


辛くて、空しくて、どうにもやりきれない。




僕は昔から平凡で中途半端な自分にコンプレックスを抱いていて、そのせいで人よりも少しだけ犯罪に憧れていた。


今考えると、この上なく愚かである。


彼は全てを失って、僕も色々なものを失った。


僕が得たものといえば、彼がいなくなった分だけ社内の序列が一つ上がったことくらいだ。


これが競争社会の楽しみ方なのか?




憤りが脳の大半を占めていて面会で話したことはあまり覚えていないが、このやりとりだけはまだ覚えている。


「実際、メシって不味いんですか?」


「いや、中のことあんま言えないんだよ」


「それ以外聞かないんで、それだけ教えてください」


「昼飯は丼ものが多いんだけど、だいたいべちょべちょの米の上にキンキンに冷えたあんかけが乗ってるよ」


地獄だ。


中も外も、あまりにも地獄すぎる。


僕はあまり期待していないが、これだけの地獄を味わった人間がこのまま終わるほど救いのない国ではないと信じたい。


遠くから、こっそりと、応援していこうかなと思う。




太もも展に行ってきたので写真をまとめてお見せしたいと思います


原宿で開催中の「太もも世界の写真展」に参加してきました。


気がつくと時間は一時間半も経っていて、写真フォルダもパンパンに膨れ上がっていました。


それらの写真に、僭越ながら僕のインスピレーションで付けたタイトルと寸評を合わせてご覧ください。


ちなみに内部の写真撮影は許可されているどころかむしろ奨励されているくらいなので、皆様も行かれる場合は家にある一番高いカメラを持って臨みましょう。


では、張り切ってどうぞ。




題:水面下

寸評:俺はどこに居らされてんねん!




題:ふるさと

寸評:娑婆での理想的な露出度じゃあ!




題:ホットパンツ

寸評:重力に反逆した右足と、屈服した左足の対比が見事じゃあ!




題:そよ風

寸評:白と肌色しかない!




題:関係性の見直し

寸評:新しいパズルか!




題:六月の始まり

寸評:ソファの座り方知らずに生きてきたんか!




題:理想の私

寸評:ピントが変態じゃあ!




題:妹と今日

寸評:アシンメトリーを有効活用すな!




題:千客万来

寸評:手つきが40代のそれやないか!




題:謙虚

寸評:全然向かい合わん!




題:間違い

寸評:太ももで満足せい!ケツ展になる!




題:水平線

寸評:水揚げされたんか?




題:お昼寝

寸評:すぐジェラートピケに頼る!




題:答え合わせ

寸評:せーので捲るな!




題:甘い罠

寸評:寝てるやつの太もも見たくなる病気のパンデミックか?




題:好奇心

寸評:もはや捲られにいっとる!




題:選択授業

寸評:心底ロッカーになりたい!




題:誤答

寸評:最初に文字書く場所じゃないって気付け!




題:けん玉

寸評:やる気あるんか!




題:プールサイド

寸評:不用意に手を突っ込むなて!




題:長い夏休み

寸評:更衣室持ってかれたんか!




題:水の抵抗

寸評:もう茄子やん!




題:軽快

寸評:どういう靴?




題:本能

寸評:凡人には拝めん画角じゃあ!




題:スマートフォン

寸評:オフィスの風紀が心配になる!




題:浮遊

寸評:普通に泳いでたらそうはならん!




題:共依存

寸評:俺の性癖を不用意に射抜くな!




題:乗り気

寸評:権力が欲しくなる!




題:7秒

寸評:また椅子の下に潜伏しとる!




題:猫と昼下がり

寸評:羨ましい!




題:食感

寸評:飯食う気無いやん!




題:ゴールデンタイム

寸評:太ももから逆算して服作るな!




題:忘れ物

寸評:そのネイルは名実ともにスタッカートじゃあ!




題:損傷

寸評:その太もも持って生まれてまだ不満があるんか!




題:優柔不断

寸評:DMMで観たことがある気しかせん!




題:秘密

寸評:足裏でコミュニーケーションを図るな!




題:安らぎ

寸評:次のアディダスのロゴこれにせい!




題:シーソーゲーム

寸評:もう百合展も開催せい!




題:眼差し

寸評:心中にしか見えんから心配になる!




題:立体交差

寸評:奥行きで勝負すな!




題:独占欲

寸評:「競」の成り立ちのもとになった写真か?




題:チキンレース

寸評:エセ占い師が水晶転がす時と全く同じ手つきじゃあ!




題:日焼け止め

寸評:青春以外の何物でもない!




題:テイスティング

寸評:やつの前世はスケベジジイじゃあ!




題:家出

寸評:女版坂本龍馬か!




題:接触

寸評:もうイチャイチャすな!




題:雲海

寸評:箸置きにしたい!




題:将来の夢

寸評:右の子の太ももが世界レベルじゃあ!




題:溶け込む

寸評:全盛期荒木雅博のスライディングそのまんまじゃあ!




題:クロール

寸評:水が器用すぎる!




題:イルカの気持ち

寸評:コースアウトすな!




題:とある岬

寸評:真面目に風景を見い!




題:待機

寸評:さぞや餅のような触感じゃあ!




題:ファンサービス

寸評:太ももでコード抑えるな!




題:凛々しく

寸評:そのままヘソに向かって転がせ!




題:ヒエラルキー

寸評:受話器みたいな持ち方すな!




題:水の音

寸評:パレオを発明した男への感謝の気持ちが止まらん!




題:目指せインターハイ

寸評:FIRAはとんだスケベスポーツメーカーじゃあ!




題:涼を求めて

寸評:たぶんクラシアンの業者でもそこに座ったことないよ?




題:飼育係

寸評:つける場所からして歩かせる気がない!




題:梅雨の楽しみ方

寸評:紫陽花が天然のレフ板じゃあ!




題:鈍感

寸評:たまに来るこの盗撮感が辛抱たまらん!




題:表面張力

寸評:スケ尻展も同時開催せい!




題:傷つく準備

寸評:太もも綺麗なやつはみんな死にたがりなんか!




題:お酌

寸評:摘発されい!




題:ブルゴーニュ

寸評:どういう儀式?




題:才能開花

寸評:ふくらはぎも捨てがたいのう!




題:空が近づく

寸評:太ももと水の親和性についていけん!




題:虹のふもと

寸評:スク水が泣いとる!




題:母の光

寸評:接写冥利に尽きる!




題:縁側

寸評:真面目にスイカ食え!




題:成長

寸評:ジェラピケの二乗じゃあ!





いかがだったでしょうか?


これだけ連続して太ももを眺めたことがありますか?


世間体、資本主義、納期、嘘、そういうものに疲弊しきった日本人が最も必要とする身近な癒しを芸術の域まで昇華し、大成させた写真家さんと被写体さんには尊敬の念しかありません。


ちなみに、こんなふうに太ももに囲まれて心が洗われるスペースも用意されています。


最高ですね。


5月6日まで開催されているので、ぜひご家族で足を運んでみては?


では最後に僕の太ももを披露して結びといたしましょう。



ありがとうございました。




ただしい現実延命学概論




はじめに、現実は辛く厳しい。


ある時は猛烈に足の小指を蹴ってくるし、またある時は殺意を持って肛門を裂こうとしてくる。


人は目に見える不幸を現実と呼ぶ。


目に見えるくらいの距離では避けようもないが、視野を広く持っていれば受け身を取ることくらいはできるだろう。


ちなみに理想とは目に見えない幸福なので、本来理想と現実は互いに干渉しない概念である。


ただこれまでの行いの積み重ねや自分の意思が介在しない周りの環境によって今の自分が形成されているので、ギャンブラーの誤謬があながち誤謬ではなくなっているのかもしれない。




幸福と不幸はナナマルサンバツのようなものだ。


どれだけ多くの幸福を荒稼ぎしていても、たったいくつかの不幸で人生からドロップしてしまうことがある。


それゆえに人生の攻略法として、不幸を避けることの方が大事であるように思える。


用心深く人生を歩めという意味を含んだ「現実を見ろ」という言葉がある。


表面上は冷徹に見えて、僕らの不幸を蜜の味だと感じる程度の他人からは決して出ることのない、ありがたい言葉だと思う。


僕は「やればできる」という台詞が嫌いだ。


確かに若者はなりふり構わず行動した方が状況が好転するケースが多いのは間違いないとは思うが。


不特定多数が目にするスローガンとしての存在価値には大きな疑問符がつく。


きっとこの言い回しを発明した人間は、生きる才能のある強い人間なのだろう。


強い人間から弱い人間へ何かを与える時の動機として一番初めに来るものは同情だと思う。


弱い人間同士だからこそ、相手の心に寄り添って与えられる言葉もあるのだ。


弱い人間から投げかけられた言葉こそ、その背景に隠された趣意に辿り着くまでよく読み解いた方が良い。




ところで、僕の現実もむちゃくちゃに洪大だ。


もちろん、目に見える不幸の意味で。


先に書いた通り、この現実を現実にしたのは他でもない僕だ。


ただそれの原因となる僕の人格的欠陥があまり見つからない。


これがいわゆる「宗教」だというのか。


自分が好きすぎて、崇拝対象は欠点すらも愛おしいというやつなのか。


それでいて人のアドバイスも知らんぷりというのだから。


ああ、これは一つ重大な人格的欠陥だ。




ほかの欠陥は人に指摘されるの待ちだとして、最近自分で見つけたものが一つある。


それは「ながら行動しがち」なこと。


ここから書くことはすべてADHD予備軍の一言で片付きそうなものだが、まだ民間療法でやっていこうと思う。


例えば野球を見ながら文章を書いたり、キャスをしながら料理をしたり。


とにかく一度に二つ以上のことを同時進行させたがる癖がある。


一つの物事に集中を向けられないからこそ、二つ以上の物事を用意すれば片方に飽きた時にもう片方をやれば良いという能天気な発想である。


僕は言い訳が大好きなので、これはある種のセルフハンディキャッピングかもしれない。


もしくは不器用で愚鈍な人間がおままごとマルチタスクをして自己陶酔に浸っているだけかもしれない。


極めたいくらい魅力的なものを見つけられていないだけなのかもしれない。


とにかく、二つを同時にこなす時の生産力は飽きながらも一つに集中した時のそれを遥かに下回る。


おかげでついに僕はスカスカ人間に堕落してしまった。


観た横浜戦の詳細な内容も覚えていなければ、文章も後から読んで恥ずかしくなるような拙さで、ラジオも一度聞いた回を何度も楽しめてしまうし、肉は焦がさないことの方が少ない。


こう書き並べると救いが無さすぎて、みぞおちがぎゅっと締め付けられる。


こうやって人の倍のペースで現実を量産してきた。


ほとんど現実が服を着て歩いているようなものだ。




この欠陥に救いがあるとすれば、これはおそらく皆が抱えている問題だろうということだ。


地上がなにかに没頭できるくらい幸せな人間で溢れているはずがない。


だからみんな不幸だ。


僕はまだ大丈夫・・・


これがご存知「現実逃避」である。


アンダーラインを引いておけ。


目に見える不幸なんて目をつぶって考えるのをやめてしまえばそれでおしまい。


死ぬまでその不幸と目を合わせなければ、その不幸は最初からなかったことになる。


逃げられる時は逃げまくれ。


そしたらいつか幸せになれる。




現実逃避の難しさは、死ぬまで独りでいなければ逃げ切るのは難しいというところにある。


奥さんや子どもといった他人ではない人達を霧の中のトロッコに同乗させる罪深い行為。


まともな人間の精神では耐えられない。


メンヘラの罪があるとすればこれだろう。


人よりも多くの愛を欲するくせに、すぐに自分だけ現実逃避を繰り返す。


メンヘラとくっつくのは勝手だが、それに先んじてトロッコのレールの辿り着く先を確認した方がいいというのは学術的に証明されていることだ。


ということだけ言い残して今日の授業を終えたいと思う。




チャイムが鳴ったが、久しぶりだから最後に。


僕のブログを読んでくれる人はもはや他人ではないので、ぜひ一つでも不幸にぶつかる回数を減らしてほしい。


それは苦い思いをする僕の不幸を回避することにも繋がる。


まあ、今日のこの文章もDAOKOの『いいこいいこ』を聴きながら書いてるんだけど。


こんなしょうがない僕だが、TLで出会ったらいいこいいこするように。




ちなみに私の趣味で申請した金曜6限の現代乳首学入門、諸事情により開講取り消しとなりました。


ああそうだ、辛く厳しいだろ?


これが俗に言う現実らしいぞ・・・