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日雇いパンダと極楽の孔

同情するなら笹をくれ

みんな、『君の名は。』って知ってる?

 

 

 

昨年の夏、何人か『君の名は。』を観た人にどこが良かったか聞いてみたことがある。

 

しかし、返ってきたのは「テンポが良いんだよね!飽きないんだよ」だとか「歌がすごいマッチしてて〜」だとか、漠然とした理由だけであった。

 

テンポと歌が良い、妖怪ウォッチか。

 

 

 

そしてこないだ、遅ればせながら親に連れられ実際に観に行った。

 

ビックリだ。

 

めちゃくちゃ感動するじゃないか。

 

久しぶりに泣いてしまって、涙を親にバレないよう隠す感じ、懐かしい気分にさせてんじゃないよ。

 

なぜみんな教えてくれなかったんだ。

 

あれか、美味しすぎて人には教えたくない路地裏の定食屋みたいなものなのか。

 

 

 

というわけで、真理芸人としてはどう感動したのかを文字にせずにはいられない。

 

感動する要因は人それぞれだが、個人的には三つほど見つかった。

 

僕の感動ポイントに共感できた人はぜひ観に行ってほしい。

 

ここから先はネタバレ注意。

 

 

 

まず一つ目は、子どもが頑張る姿。

 

どうも僕は、はじめてのおつかいや熱闘甲子園の類いに昔から弱い。

 

何が起こるでもなく、ただ目標に向かってひたむきに歩む姿を見るだけで反射的に涙が出てしまうのだ。

 

子どもがメインの感動モノというのは、子ども達が感動させる為に行動選択をしていない、というのを本能的に感じ取っているのが感動に繋がるのだろう。

 

特に中高生、世間から認められず発言が説得力を持たなくてもどかしい時期にどうしてそんなに頑張れるの、と半ば自責の念に駆られながらの感動になることが多い気がする。

 

僕は自分で自分を責めるのが大好きなのだ。

 

新海誠、趣味が合うね。

 

 

 

二つ目は、不条理さ。


勝手に違う人間に入れ替わらせられたと思えば勝手に遠く引き裂かれたりとかもそうだが、個人的には終盤の隕石から町を守ろうとするシーンに不条理型の感動があった。

三葉らが奔走している時に中継するリポーターが口々に美しい光景です!奇跡です!と述べているのに心を締め付けられた。

 

そんなことを呼びかけるくらいなら避難勧告でも出してくれよ、という思いでいっぱいだった(落下地点の予測は出来ないという設定だったようだが)。

悲しい歌詞なのにメロディはトリップしてるのかと思えるくらい明るい曲を好きな人は多いのではないだろうか。

これも一つの不条理型の感動だと思う。

 

新海誠、ことごとく趣味が合うね。

 

 

 

そして三つ目、疾走感。

 

今思えば、みんなが言っていたテンポの良さとはこれも含めて指していたのかなーとも思っている。

 

君の名は。タイムリープ系のSFモノで、数年前の話や昨日の話、未来の話がごっちゃになっている。

 

その断片的な情報がぐわーっとリンクする壮大な迫力、まとまりのない点と点が惑星直列のように線を成す美しさ、これは誰しも感動するのではないだろうか。

 

この走馬灯的な疾走感こそ、ボディーブローのように遅効性のダメージが入り、最終的に畳み掛けられてカタルシス的感動を覚えてしまう原因だろう。

 

三葉が住んでいた糸守という地名も感動ポイントだ。

 

地名は土地の記憶である。

 

紡がれた糸が代々この地を護ってきたんだな、と勝手に想像してしまうだけでほら、走馬灯でしょ。

 

新海誠、もはや僕なんじゃないか?

 

 

 

あまり手放しで人を持ち上げるのは好きじゃないのだが、これはもう感服と言わざるを得ない。

 

以前youtuber人気ランキング上位100人の動画をまとめて見たことがあったのだが、その中でもブライアンのセンスはズバ抜けていて、恐怖すら覚えたのを思い出した。

 

小手先だけの凡才は、本物の天才に出会うとひれ伏すしかないのだ。

 

二人の作品には無駄がない(ケチをつけられる部分が見つからない)という部分でも共通している気がする。

 

 

 

余談だが、以前Twitter君の名は。は観ない!と宣言した時に人から新海誠作品を勧められたことがあった。

 

その時に観たのは『ほしのこえ』、新海誠のデビュー作である。

 

この三つ、今思えばほしのこえにも全部入っているのだ。

 

新海誠は大衆に迎合してしまった、変わってしまったという意見もあるが、僕は全くそんなことないと思う。

 

確かにほしのこえはやや暗かったし、そこからポップにはなったのかもしれないが、昔よりも大きくて綺麗な花が咲くようになっただけで、根っこはなにも変わっていないという感じだろうか。

 

 

 

君の名は。』をまだ観ていない人はお早めに。

 

観た人は感想聞かせてね。