三軍の幸福論

君も幸せになる時が来たんだ

すべての元凶




もう大人になって、かなりの月日が経った。


ハタチになったあの日。


友達と山盛りの焼きウインナーを喰らい尽くし、胸焼け冷めやらぬなか満貫放銃を連発し、罰ゲーム用のジムビームで食道に追い打ちをかけた。


酩酊状態の最中、これが大人のやることだろうかとふと我に返る。


それから帰りに寄ったコンビニのお姉さんを訳もなく睨みつけ、その十分後に死んだように眠りに就いた。


選曲した記憶はないのだが、起きてからスマホを見ると『ビタースウィート・サンバ』が一曲リピートになっていた・・・。


思い出して、またムカついた。


記憶容量を割くことすら勿体ないほどのどうしようもない思い出。


しかし未来への漠然とした希望があるうちは、このエピソードだって成功者の前日譚として心の隅で淡い輝きを放ち続ける。


未来への漠然とした希望があるうちは。





「トリミングも順調に上手くなってるし、このままいけば普通に成功を収められるだろう」


僕が数年前にはじき出した計算の結論だ。


この計算の通り、一流トリマーに必要な素質を表す五角形のチャートがあるならば、五角形が日に日に膨らんでいる感覚は確かにある。


だがこれほどまでにハタチを越えてからの時間が早く進むとは夢にも思わなかった。


全身の毛がよだつ。


このペースだったら全然追いつかない。


あと十年弱ほどで成功を収められれば良いと考えていたが、その十年弱はなんだかんだで二年くらいではないか?


かつての漠然とした希望が、色を黒くしながら輪郭をくっきりさせはじめた。


時間が無い。


二十歳からの一年と、二十一歳からの一年はもう僕の手元には無い。


俺は本当にこのままでいいのか?





僕の良くないところは、このままでは駄目だと断言することができないことだ。


この一年を振り返ってみると一年前の自分では想像もつかなかったことばかりで、この不安定さが心地良くて仕方がない。


沢山の悪い人と出会って、沢山の悪事を働いてやった。


側から見れば破滅以外の何物でもない。


それは僕からすれば真っ白い模造紙に鮮やかなペンキをぶちまけるような爽快な日々でしかなくて、思わず布団に入る時に豪快な笑い声を上げそうになる。


政治家精神を持つ人と犯罪者精神を持つ人がいると思うが、僕の心の多くを占めるのはかなり純度の高い犯罪者精神であるように思う。


常に見えない敵と戦っている健気な自分が愛おしくて仕方ないのだが、人が同じように僕を愛してくれるのかについては巨大な疑問符が付く。


その逆風を跳ね返す生命力が僕にはないので、さてどうしようか。





三軍の星の元に生まれてしまったことに薄々感づいてはいたが、それがようやく確信に変わりつつある。


大人数で話している時に僕の話題になることはほとんどないし、なにかを成したところで人は評価も批判もしてくれない。


自分語りを周りが楽しく聞いてくれる環境が備わっている人は一軍だろう。


僕はというと、毛穴の一つ一つから滲み出る緊張感が他人を寄せ付けず、誰からも愛を受け取れずじまい。


人間不信とは形容したくないが、この病的ななにか、思春期以降に耳にした数々の汚い言葉の矛先がいつ僕に向くのかという終わりのない恐怖。


それを覚えてからというもの、自分の急所を見せずに、一定の距離を保ち、言葉の裏の裏の裏の裏まで読むようになってしまう。


結果として誰の懐にも入れず、何人も懐に入れようとしない。


「三軍病」とでも呼ぼうか。





僕は中高で、一軍グループの腰巾着と三軍グループのリーダーの両方を経験した。


どっちも一抹の切なさがあるのは間違いないのだが、社会に出て困るのは間違いなく後者だと思う。


この人はいまどういう感情を持っているのだろうと常に推理し続け、それを元に言動を選択することがどれだけ大切なことか。


突然周りがイエスマンでなくなることと、聞くスキルが身につかないまま大人になってしまうこと。


早急にこれらへの対処を強いられる三軍グループのリーダーは過酷だろう。


僕はそれの更に上を行く。


対一軍・対三軍に関わらず、全ての人間関係を騙し騙し築き上げてきたからだ。


過去に形成した人間関係の異常を、次に新しく発見してしまうのはいつだろうか?


そう考えるだけでとても苦々しい。





なにか批判される事をしでかす奴。


それを発見して批判する奴。


それに便乗し、さらに一般化して対象の同族全員を批判する奴。


この一連の悲劇には、もうほとほと愛想が尽きた。


これらを乗り越えてまで皆が欲しがる愛って、一体どれだけキラキラしたものなのか?


暇潰しや時間稼ぎではない愛なんて、地上に存在するのか?


親からは人並みに愛情を注いでもらったが、赤の他人からの愛はまた違うものだろう。


その狭義の愛がどんなものかなんて僕には見当もつかない。


見つめ合うだけで相手と分かり合えるならこんな辛い思いをしなくて済むのに。


そうならないなら全て吹き飛んでしまえ。


本当のことだけ喋って生きろ・・・。







というわけで、オナ禁を始めることにした。


内憂外患、すべてお前のせいだ。


前だけを見て、どこまでもオナ禁の魔道を突っ走ってやる。


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