三軍の幸福論

君も幸せになる時が来たんだ

遅くなりましたが、今年の夏休みの自由研究がこちらです




あのー僕、すごいものを見つけたんだけど、知ってるかなあ?


""音楽""って言うんだけどさあ・・・(舐めきった序論はとても気持ちが良い)




音楽の素晴らしさは、感情を柔軟にコントロールできるところにある。


楽しさを爆発させたい時は一本のダイナマイトに、悲しみを収めたいときは一枚のハンカチになるように。


精神を任意の感情へ染めるための触媒[注1]として働く音楽を、誰しもが持っているはずだ。


ここで、聡明な僕ゆえの明察っ・・・!


気づくよな・・・今まで、その気づきで他者を圧倒してきたのだから・・・!


ああ、それは気持ち良くなりたい時に聴くべき音楽があるはずということだ・・・![注2]




これは僕がまだ自意識を尖らせていた頃・・・(あたかもむかしむかしの話のように語り出したが、比較的最近の話である)


以前は死人の心電図のごとく平坦でつまらない日々を過ごしてきたが、とある日を境に、不意に異性にチヤホヤされてみたくなった。


それからというもの、香水をつけてみたり、相席居酒屋へ身一つで飛び込んだり、スケベなソファを買ってみたり、小手先の小手先で恋愛"もどき"を黙々とこなしてきた。


その甲斐あってか、当社比で頭数だけは多くの女性とくっついたり離れたりする[注3]日々を過ごした。


そのさなか、僕の持って生まれたサービス精神が高じて(低じて)、ライトメンヘラガールとの宅セク[注4]中にiPhoneで音楽をかけたことがあった。


それは(この人、宅セク中にiPhoneで音楽をかけるとは、なんてオシャレな人なんだろう!)と思われたかった部分ももちろんある。


が、浴室で数々の水滴が衝突し合う轟音を聞いた後の真夜中の日本、あまりにも静かすぎた。


沈黙に耐えられず、iPhoneの画面を下からスワイプし、その時によく聴いていた『becoming』[注5]を思い切って流してみせた。


相手の顔を覗き込んでみる。


信じられないくらいの、美しい無表情だった。


そのまま自然体を装って添わせ寝[注6]を始めようとしたが、聴くとiPhone「いつの間にか君なしじゃ息もできない〜♪」と切なげに歌っていた。


相手が心なしかほくそ笑んでいるように見えた(たぶん聴いちゃいない)


メンヘラが!ほかのメンヘラを馬鹿にするんじゃあないよ!!!(たぶん聴いちゃいない)




それに懲りず選曲について唸り悩み続ける、全ては相手に気持ちよくなってもらうためであり、相手の快感は僕の快感でもある。


ピンサロよろしくYouTubeでギンギンのユーロビートを流したり、逆にクラシックが良いのかと『雨だれ』[注7]を流したりもしたが、シナシナのパサパサでどうも満足のいく反応が得られない。


そのうち僕は一つの結論に辿り着いてしまった。


・・・音楽、いらなくね?



そもそも、日本の静かさを音楽でかき消したいのなら、一人で自室にこもって耳をイヤホンで塞げばいいだけの話。


なにも太陽に背いて真裸になる必要なんかこれっぽっちもないのだ。


音楽は万能だが、唯一寂しさへのキキメは無に等しいのだ!


世の音楽好きよ!わかる!わかるよ!


音楽は今まで僕らを救ってくれたけども!


違うんだ!寂しい時は音楽じゃない!


寂しけりゃヒトの声、ヒトの音を大音量で聴きまくるんだ!わかったか!!!


あとユーロビートはダメだ!ケツが攣るゥ!!!!!



ところで、ふつうは人が曲を選ぶはずだが、ごく稀に曲が人を選ぶことがあって、僕はこの事象を「選人」と呼んでいる。


朝まで僕の部屋にて男女数人と人狼をやったことがあって、それから昼過ぎまで雑魚寝をしたことがある。


それからふわつく身体でIGGY POP FAN CLUB』[注8]を聴きながらコンビニまでお茶を買いに行った。


一曲リピートを続けたまま部屋に戻ると、みな輪になってしょうもなトークを繰り広げていたが、一人だけ未だに平らに倒した座椅子[注9]に寝転んでいた女の子がいた。


窓からの西日に照らされた不思議な横顔から数秒間、目が離せなくなった。


奇跡らしい奇跡も久しぶりで、濁流のような劣情を催したのは忘れられない・・・。

君は家猫娘だった
この部屋でいつも寝転んで

俺のこの部屋に入り込む夕陽に映る
君の顔見とれてた俺は
まさに赤色のエレジーだった!!



それから一週間か一ヶ月か、あの子のことが好きに"なりそうに"なって仕方がなく、ナンバガがいなければ生まれることはなかった余剰性欲と戦い続けていた。


さすが音楽、哀しき色情においては効果てきめんで、恐ろしくキキメが長い。


結局、彼女は夕陽の差さない時間に僕の家を再訪し、二人でめくるめくセッション [注10]を繰り返した。


人が音楽の言いなりになった歴史的瞬間である。


皆さんも、「選人」には気をつけましょうね!!!



おしまい





脚注はツイキャスのトピックに貼ろうかと思います。読みたい人はそっちも読んでください。我ながらオシャレなシステムだ・・・!